親に相続の話を切り出すには?気まずくならない伝え方と話す順番
切り出せないまま、帰省のたびに持ち帰っている方へ
「財産目当てだと思われたくない」
「縁起でもないと言われそうで、口にできない」
「聞きたいことはあるのに、何から聞けばいいのか分からない」
切り出せないのは、勇気が足りないからではありません。
切り出せない自分を責める必要もありません。
この記事では、親と相続の話を始めるための考え方と、きっかけの作り方、聞く順番に範囲を絞ります。
一度で全部を話す必要はありません。
まずは、最初のひとことが言える状態を目指します。
切り出しにくいのは、話の重さが二つ重なっているからです
相続の話には、言いにくい要素が二つ重なっています。
- 親は死後の準備を急かされたように聞こえること。
- 子どもから財産を尋ねられたと感じ、身構えること。
この二つが同時にあるため、切り出した側が冷たいと受け取られないか、不安になります。
兄弟姉妹がいる場合は、自分だけが動くと変に見られないかという遠慮も加わります。
そのため、多くのご家庭で相続の話は先送りになります。
これは、どの家庭にも起こりうることです。
ただ、話せないまま時間が過ぎると、困るのは親本人と残された家族です。
必要なのは勇気ではなく、切り出しやすくなる準備です。
相続の話は、親を困らせないための話です
切り出しにくさの多くは、相続の話を財産の分け方の話だと思うところから来ています。
親が答えやすいのは、これからの暮らしに関する質問です。
- 何かあったとき、誰に連絡すればよいのか。
- 大事な書類はどこにあるのか。
- 親自身は、これからの暮らしをどう考えているのか。
つまり、親が困ったときに家族が動けるようにしておく話であり、親の想いを聞いておく話です。
財産は、その人が人生をかけて積み重ねてきた時間と想いの形でもあります。
どう分けるかより先に、どう受け取れば親の気持ちに沿うのかを知る。
そう捉え直すと、切り出す言葉も自然に変わります。
今できる小さな確認は、親に本当に聞きたいことを一つ書き出すことです。
最初の目的は、聞き出すことではなく話せる関係を作ることです
切り出し方の前に、次の三つを決めておくと話が続きやすくなります。
今回の目的を決める
初回から財産の全体像を聞こうとすると、親も構えてしまいます。
最初の目的は、この話題を家族で口にしてよいという空気を作ることです。
日常の会話から、将来どうしていきたいかを自然に話せる環境を作ることです。
一度話題にできれば、二回目からは楽になります。
一度で全部聞かない
相続の話は、一回の帰省で終わらせるものではありません。
- 今回は暮らしの心配ごとだけ。
- 次は書類の保管場所だけ。
- その次は将来の不安の聞き取りだけ。
そのくらいの区切りで十分です。
一度に全部を聞かなくて良いですし、結論を急ぐ必要もないのです。
兄弟姉妹には先に一言だけ伝える
内容まで決める必要はありません。
親とこれからのことを少し話してみる、と一言共有しておきます。
それだけで、あとから勝手に進めたと受け取られることを防げます。
温度差があっても、この段階では合わせなくて大丈夫です。
今できる小さな確認は、兄弟姉妹へその一言を送っておくことです。
きっかけは、身の回りの出来事から借りられます
ゼロから切り出すより、きっかけを借りる方が楽になります。
使いやすいきっかけには、次のようなものがあります。
- テレビや記事で相続の特集を見たとき
- 親戚や知人の入院や相続の話を聞いたとき
- 自分の保険や住宅ローンを見直したとき
- 実家の片付けや修繕の話が出たとき
- お墓参りで家族がそろったとき
言葉にするなら、たとえばこんな形です。
「友達のお父さんが入院したとき、通帳の場所が分からなくて大変だったらしい。うちはどうなってる?」
「私も保険を見直していて思ったんだけど、お父さんたちの保険はどこの会社か教えてもらっていい?」
「実家もそろそろ修繕の話が出ているし、この家の名義はどうなっているの?」
共通しているのは、あなたのためと迫らないことです。
よその話、自分の話、家の話から入ると、親も答えやすくなります。
反対に、避けたい入り方もあります。
- 何も準備していないでしょ、と確認から入る
- 兄弟姉妹がそろった場で、いきなり議題にする
- 早くしないと大変なことになる、と不安で押す
責められている、急かされていると感じると、親は話を閉じてしまいます。
今できる小さな確認は、次の帰省までに使えそうなきっかけを一つ選んでおくことです。
聞く順番は気持ち、場所、形の順です
話せる空気ができたら、聞く順番を意識します。
まず、気持ちと意向
- これからどこで暮らしたいか。
- もし入院や介護になったら、誰に何を頼みたいか。
- 大事にしているもの、残したいものはあるか。
- 子どもたちのことをどう思い、どう考えているのか。
金額の話をしなくても、ここが聞けるだけで家族は動きやすくなります。
次に、書類と物の場所
- 通帳や保険証券を、どこにまとめているか。
- かかりつけの病院と、飲んでいる薬。
中身は見なくていいから場所だけ教えて、という聞き方なら親の抵抗も小さくなります。
形の話は、急がなくて大丈夫です
誰に何を残すか、遺言書を書くかどうかといった話は、関係ができてからで間に合うことが多いものです。
順番を守るだけで、財産目当てに聞こえる心配は減ります。
今できる小さな確認は、場所だけ教えてと頼みたい書類を一つ決めることです。
親が嫌がったときは、いったん引いて大丈夫です
丁寧に切り出しても、親が縁起でもないと返すことはあります。
そのときは、無理に続けないでください。
一度話題にしたこと自体が、前進です。
親も、その場では嫌がっても、後から一人で考えていることが多いものです。
引くときは、次につながる一言を添えます。
「分かった。ただ、私たちが困らないように、いつかゆっくり話をしようね。」
口で話すのが照れくさいご家庭では、エンディングノートのような書く道具を置いてくる方法もあります。
書いてもらえなくても構いません。
目に入る場所にあるだけで、考えるきっかけになります。
相続や生前の備えには、親が自分で判断できるうちにしか選べないものもあります。
まだ大丈夫と思える今のうちに一度話せると、親自身が選べることは多く残ります。
話す順番に迷ったら、「親子で話しておきたい10のこと」があります
きっかけは分かったけれど、何をどこまで聞けばいいのか不安が残る。
そんな方のために、まりものわでは「親子で話しておきたい10のこと」という資料をお渡ししています。
親と話しておきたい項目を、話しやすい順番に整理したものです。
全部を一度に埋める必要はありません。
気になる項目を一つ選んで、次の帰省で話してみる。
その使い方で十分です。
資料は、公式LINEにご登録いただいた方にお渡ししています。
司法書士法人まりものわでは、次のような段階からご相談いただけます
親との話し合いは、ご家族にしかできません。
ただ、その前後の整理は司法書士がお手伝いできます。
- 親と話す前に、何を聞けばよいか整理しておきたい
- 一度切り出したものの、断られてそのままになっている
- 兄弟姉妹との間で、話の温度差がある
- 親から聞いた内容を、どう備えにつなげればよいか知りたい
- 実家の名義や昔の相続が、そのままになっていないか気になる
書類がそろっていなくても、話がまとまっていなくても大丈夫です。
LINE、電話、問い合わせフォームから、分かる範囲の状況をお知らせください。
まずは、親と話せる関係を作るところから始めましょう。
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